オフィス移転コストはどれくらい?イニシャルコスト大解剖!
オフィス移転計画にあたって1番気になるのは、やっぱり先立つお金、コストです。
コストの中でも、特に初期費用(イニシャルコスト)は、どのような項目があって、どのぐらいの予算が必要なのでしょうか?
今回はオフィス移転のイニシャルコストに焦点をあてて、徹底・大解剖!
オフィス移転の初期費用は分かりづらい?
様々な理由により、オフィス移転をすることに…。そこで気になるのが『オフィス移転をするのにどれ位イニシャルコストが必要なのか?』ということだと思います。
しかしオフィス移転にかかるイニシャルコストといわれても、どんな項目があるか、またどれぐらい費用がかかるのかイメージしづらいものです。
そこで、この特集ではオフィス移転のイニシャルコストにどのような項目があるのかを確認しながら具体的事例を挙げてみていきたいと思います。
移転のイニシャルコストは2種類ある
オフィス移転のイニシャルコストには、「直接的」なコストと、「間接的」なコストの2種類があります。
直接的に必要なイニシャルコスト
オフィス移転の「直接的」なコストは大別すると3つに分類されます。
- 賃貸契約に関するコスト (保証金や敷金、礼金、仲介手数料)
- 入居に関するコスト (オフィス内装工事費用など)
- 退去に関するコスト (退去するオフィスの原状回復工事費用など)
①賃貸借契約に関するコスト
賃貸借契約に関するコストとは、新しいオフィスの賃貸借契約に関して必要となる費用です。
具体的には、ビルオーナー側に預ける敷金や保証金などの預託金、そして礼金です。(貸事務所は礼金がない物件の方が多いです)
あとは不動産業者へ支払う仲介手数料になります。
②入居に関するコスト
入居に関するコストとは、新しいオフィスへ入居するために必要となる工事・作業費用のことです。
具体的には、内装工事、電気工事、電話・LAN工事、引越し費用などがあります。
デスクやイスなどのオフィス家具やパソコンなどのOA機器を追加発注する場合には、そのコストも入居に関するコストに含みます。
③退去するオフィスに関するコスト
退去するオフィスに関するコストとは、原状回復工事、造作物の撤去、廃棄などの費用になります。
オフィスを退去するときは、借りたときの状態に戻さなくてはなりません。(=原状回復工事)
「造作物」というとイメージしづらいですが、その代表的なものが、会議室などの間仕切りに使用しているパーティションの撤去です。
撤去にどのぐらいの費用がかかるのか見積りを取っておくとよいでしょう。
間接的に必要なイニシャルコスト
オフィス移転の「間接的」に必要なコストは2種類あります。
- 登記変更に関するコスト (登記変更の場合の登録免許税)
- 印刷物に関するコスト (名刺・封筒・刊行物など)
①登記に関するコスト
移転するオフィスが「本店」の場合、移転の日から2週間以内に、旧本店所在地と新本店所在地の法務局へ届出が必要になります。
同一管轄区域内の場合は登録免許税として3万円、管轄区域外の場合には6万円分の収入印紙を貼り付けて提出する必要があります。
管轄区域外の場合は、旧本店所在地の法務局への申請と新所在地の法務局への申請の2件の登記申請書が必要なため登録免許税が6万円になります。
(申請書は同時に旧所在地の法務局へ提出してください。)
②印刷物に関するコスト
名刺や封筒など住所が印字されているものは、オフィス移転に伴って変更する必要があります。
刊行物などがある場合にも修正が必要です。また自社ホームページなども住所を変更する必要があります。業者に委託している場合には、その修正に関する費用も確認しておくと良いでしょう。
取引先へ移転のあいさつ状を出す場合には、その印刷代や郵送代も含めて換算します。
オフィス移転コストを算出してみよう!
それでは、次にオフィス移転コストを具体的な事例に基づいて算出してみましょう。今回は、使用人数10名のオフィスを近場で移転したケースで考えてみましょう。
オフィス移転をすることにより直接的に必要なコスト
① 移転先オフィスが決定!賃貸借契約に関する初期費用は?
賃貸借契約に関するコスト 315万~675万
敷金・保証金
賃貸借契約に基づき貸主に預託する費用。
一般的なオフィスビルの場合、賃料の6ヶ月分~12ヶ月分。
今回のオフィスビルは賃料/坪15,000円 、 面積30坪
→月額賃料は、15,000円×30坪=45万
保証金・敷金6ヶ月のとき → 45万×6ヶ月分 =270万
保証金・敷金12ヶ月のとき → 45万×12ヶ月分=540万
礼金
最近のオフィスの契約では、礼金がない場合が多い。
有りの場合、賃料の1ヶ月分~2ヶ月分
礼金 無し のとき → 0円
礼金が賃料の1ヶ月分のとき → 45万
礼金が賃料の2ヶ月分のとき → 90万
仲介手数料
新オフィスの賃貸借契約の仲介を依頼した際に発生する費用。賃料の1ヶ月分。→ 45万
※礼金、仲介手数料には別途消費税がかかります。(敷金・保証金などの預託金については消費税はかかりません。)
【敷金・保証金などの預託金について】
賃貸借契約にかかる初期費用は、ざっくり月額賃料の12ヶ月分ぐらいは必要な計算になります。
(共益費は含めない。月額賃料の○ヶ月分で計算します。)
退去するオフィスに預けている敷金・保証金は、退去後に返還されるので、新しいオフィスへ保証金・敷金を納めた後に戻ってくることになります。
最近では、保証会社を使えば(もしくはビルによっては利用必須になっている)預託金が賃料の4ヶ月未満の物件もあります。
賢く保証会社を利用して戦略的にオフィス移転をする企業様が増えています。
② 新しいオフィスの内装工事、引越し費用はいくら?
オフィス入居に関するコスト 72万~112万
電気工事
OAタップ(コンセント)配線6箇所設置
→ 8万~12万
電話・LAN工事
主装置+電話機12台移設
→ 14万~15万
※NTT工事代金は別途に必要。
内装工事
会議室1室パーティション工事
(4500mm×2700mmのL字に設置)
→ スチールパーティション:45万~60万
→ アルミパーティション :30万~40万
引越し
4t車又は2t車2台
→ 20万~25万
※スチールパーティションとアルミパーティションの違い
スチールパーティションの方がコストが高いですが、防音性があります。アルミパーティションの方がコストが安いですが、防音性は低いです。
また防音性を重視して天井まで間仕切りをすると費用が上がります。(天井まで間仕切りをしたい場合には、天井にあるライトの位置や火災報知機の位置に注意が必要です。
仕切りを立てる場所によってはライトの移設や火災報知機の追加取り付けが必要になることがあります)
パーティションで間仕切る個室が、本当に防音性が必要かどうか検討してパーティションを選択すると良いでしょう。
③ 退去するオフィスはしっかりキレイに原状回復!
退去に関するコスト 99万~342万
原状回復工事
旧オフィスを原状に復するために必要な工事費用。
一般的なビル → 90万~150万(坪3 万~5 万)
大手ビルオーナー等のビル → 150万~300万(坪5万~10万)
造作物の撤去
スチールパーティーション → 9万~30万
アルミパーティション → 6万~18万
廃棄
軽トラック → 3万~ 5万
2トン車 → 6 万~12 万
※原状回復工事業者から見積りをとるときのワンポイントアドバイス
原状回復工事は、退去するオフィスに原状回復工事の指定業者があるかどうか契約書を見て確認しましょう。
指定業者がない場合は、自ら業者を探すことになりますが、見積りの前に現場調査が入るはずです。
その現場調査のとき、ビルオーナーや管理会社などビル運営者の立会いのもと、行うと良いでしょう。
オフィス移転をすることにより間接的に必要なコスト
登記変更に関するコスト
前述した通り、本店住所の変更登記には同一管轄区域内で3万円、管轄区域外で6万円が かかります。
今回は本店のオフィス移転で同一管轄区域内への移転なので、3万円の費用が かかります。
印刷物に関するコスト
必要な印刷物について、過去の見積り・発注額を参考に予算組みしてください。
移転のあいさつ状を取引先に出す場合には、その印刷代や郵送代も含みます。
オフィス移転のイニシャルコストまとめ
オフィス移転イニシャルコスト合計 489万~1,132万
オフィス移転には多額の初期費用が かかります。
今回は単純なオフィス移転の事例でしたが、オフィスの内装を作りこんだり備品を入れ替えたりすれば費用はさらに かさみます。
しかしオフィス移転は企業の成長ステージに必要不可欠なことです。
長年オフィス移転のお手伝いをしていますが、移転をしてリクルーティングを優位にし優秀な人員を確保した企業、
移転が企業ブランドイメージの向上につながり、、業績が上がった企業をたくさん見てきました。
オフィス移転は、子供が少し大きい服を着て成長していくようなものだと感じています。
移転費用を抑えることもさることながら、多額の費用がかかる移転計画を最大限 有意義なものにするために、計画段階で「移転の目的」を明確にして、その目的に合致する物件探しや内装デザインを進めていくことをおすすめします。
※記載の金額は、様々な移転事例より算出している目安金額です。
工事・作業を依頼する業者さんや現場状況、内容等により金額は変化しますので、あくまでも参考金額としてお考えください。
金額が気になる場合は、早めに各種見積もりを取るようにしてください。